国土交通省の官僚は、ANA派多数世代と日本航空(JAL)派多数世代に分かれ、サンドイッチのように層を形成している。これはライバル関係にあるANAやJAL、そのいずれかを支持する上の世代の官僚に対する愛憎などによって生み出された。特集『航空・鉄道 最終シナリオ』(全18回)の#8では、官僚の心の内をのぞいた。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
今の局長世代は
JAL派からANA派に代わるタイミング
国土交通省は航空を含む交通の行政を所管する行政機関だ。ANAホールディングス(HD)が率いるANAグループ(以下、ANA)、日本航空(JAL)の国内航空2強にとっては、監督官庁である。
その国交省を動かすキャリア官僚は、ANAやJALなどの航空会社をもちろん公平な目で見なければいけない。だが彼らの本音に触れると、航空政策ひいては航空産業への考え方によって「ANA派」か「JAL派」に分かれている。
あるべき航空政策の思いは、時代と共に世代によって変遷する。上の世代の“正義”に下の世代は疑問を持って変えたいとの思いを抱き、その下の世代は変化した後の状況に新たな疑問を抱く。それが政策の改革を生み出すという点では、健全なことではある。
航空行政において興味深いのは、官僚たちがANA派多数世代、JAL派多数世代を交互に形成していることだ。
今は局長世代がちょうどJAL派からANA派に代わるタイミング。入省時期によってどの世代にどちらの派が多いのか。そうなる背景とは何なのか。