国内航空2強であるANAホールディングスと日本航空(JAL)の2021年3月期第1四半期は売上高、損益共に凄惨な結果となった。両社の減収率、減益幅は同レベル。しかし、ANAはJALよりリストラを急いでいる。この差はなぜ生じるのか。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
ANAもJALも大赤字
事業構造見直しに「差」
ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)の2021年3月期第1四半期(20年4~6月)決算は、新型コロナウイルス感染拡大の影響をもろに受けた。
ANA HDは「四半期では、過去最大の損失」(福澤一郎取締役常務執行役員)。JALは「経営破綻した09年度決算に次ぐ規模の損失」(菊山英樹代表取締役専務執行役員)。共に大赤字を出した。
両社の減収率、減益幅は同レベルだ。両社は国際線、国内線の割合が半々であり、事業構成は似ている。国際線の壊滅的な状況も、国内線から始まる回復も、売上高や利益への表れ方は似て当然ではある。
にもかかわらず、ANA HDは大リストラ策を含む事業構造改革を秋までに策定しようと、とにかく焦っている。対してJALは、事業構造の見直しを含む新中期経営計画について20年度末(21年3月)までに策定する予定。コロナ危機がどうなるか、様子を見る余裕がうかがえる。
この差はなぜ生まれたのか。その答えは、「キャシュ燃焼額」なるものから導き出せる。