依存しているかな?と思ったときの対処法
エクササイズは、買いものやギャンブルと違って、健康的なイメージが強いので、なおさら依存が気づかれずに進行する危険性を持っています。
今まで依存してきた行動が急にできなくなる、不可能になると人間は感情的な変化が生じます。いちばんよくみられる心理反応は、怒りです。
自分の思い通りにできないエネルギーが怒りとなって表われます。怒りばかりではなく、無気力や落ち込み、不安などもありえます。また、依存できる行動手段を奪われると、説明のつかない感情の変動に襲われます。
この場合、どういう対処法が現実的なのでしょうか。先ほどのJ君は、奥さんと険悪な状態のときも、エクササイズを再開して気を紛らわせていました。
エクササイズ以外のものにのめり込むという手段もあったはずです。
しかし彼は考えました。このままでは、家庭や仕事を含めても長期的な解決にはならないと。エクササイズの時間を制限することは、最初は苦痛でしたが、不安をありのままに感じることにし、奥さんに「実は運動していないとイライラして落ち着かない」と、正直な気持ちを伝えることにしました。時間はかかりましたが、J君のフィットネス依存は落ち着きを見せています。
基本は、「自分の意志に反している、習慣的な行動」があれば、それに対する不愉快な気持ちは「おかしいな?」という感触をありのままに感じることです。そして、少しずつ制限していく中で、主に家族や友人にもその不愉快な気持ちを話すことが、依存から脱却する近道なのです。
(本稿は『今の働き方が「しんどい」と思ったときの がんばらない技術』西多昌規著からの抜粋です)
◆ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ◆
『今の働き方が「しんどい」と思ったときの
がんばらない技術 完全主義を手ばなす35の処方箋』
好評発売中!
「部下や同僚に仕事を任せることができない」「やってもやっても仕事が終わらない」「やりかけの仕事があると不安で落ち着かない」「いつも『時間が足りない』と思っている」「やらなきゃと思いつつ、つい『先延ばし』してしまう」「捨てられないものがたくさんあり、結局片づかない」。ひとつでも当てはまるものがあれば、あなたの中の「マイナスの完全主義」が、心がしんどくなる原因です。本書は、精神科医・医学博士の著者が、最新の脳科学データを読み解き、成果の出ない「マイナスの完全主義」を、成果の出る「プラスの完全主義」に変える方法を紹介していきます。