コロナが映す医療の闇#3
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製薬会社の営業部隊であるMR(医薬情報担当者)はコロナの影響で病院訪問が制限され、働き方が大激変した。高給取りで“営業の花形”とされていたのに、存在価値そのものが問われている。特集『コロナが映す医療の闇』(全14回)の#03は、リストラの大波が迫るMR、開発担当者の実態をレポートする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

リモート面談の釣り餌に
「リモート弁当を提供できないか」

「この数カ月は実に無意味だった」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で医療機関への訪問自粛を余儀なくされた現役MR(医薬情報担当者)の山本省平さん(仮名、38歳)は自虐的にこの春以降を振り返った。

 製薬会社の営業部隊であるMRは医療用医薬品の処方権を握る医者にコンタクトし、自社製品を説明したり、副作用情報を集めたりするのが仕事だ。近年は業界ガイドラインの厳格化で両者の付き合い方はかなりドライになってきたが、それでも医療機関に足しげく通い、医者との人間関係を築くのがMRの重要なミッションだ。

 そんなMRがコロナ禍で医療機関を回れなくなり、営業活動の中心はeメール、ビデオ通話などのリモート面談に移った。

 冒頭の山本さんは「“医者のeメールの開封率”“メール本文内のURLクリック率”“医者とのリモート面談回数”が昇給のインセンティブになった」と打ち明ける。「どうやったら開封されるのか」と、メールの件名、本文の書き出しに随分悩んだ。ふとわれに返って「俺って何屋さんだっけ?」と思ったのは一度や二度ではない。

 リモート面談の釣り餌に、「リモート弁当を提供できないか」という大真面目な社内発案や弁当業者からの提案もあったが、業界ガイドラインに照らして実現は難しい。

 あらかじめeメール送付許可を得ていなかった医者やそもそもITに疎い医者に対しては、“資材の送り付け”や“手紙攻撃”を繰り出した。