ヒルマイルドは60グラムのクリームで、アマゾンでは税込価格で1650円ですが、ヒルドイドを処方してもらうと健康保険が適用されるため、3割負担の場合は50グラムで355.5円になります。残る7割は保険制度が負担します。つまり「安いアンチエイジングクリームだから、お医者さんに処方してもらおう」という行為自体が、医療費を圧迫する社会問題なのです。

 こういった問題が起きたことで、昨年9月、マルホは化粧品目的の消費者に対し、コーセー化粧品との合弁会社、コーセーマルホで「カルテヒルドイド」という医薬部外品の化粧品ラインを立ち上げました。ところがヒルドイドの名称を使うと「医薬品との誤認が起きる」と行政から指摘され、現在では「カルテHD」という商品名に変更したという経緯があります。

 この「カルテHD」は40グラムで2530円(税込)です。この商品と消費者が購入を迷う他社商品は、実はカルテヒルドイド発売以前に出そろっています。昨年5月に大正製薬から発売された「アドライズ」という化粧品ラインは、成分的にはカルテHDとダイレクトに競合する商品です。ただこれは、商品表示上の問題はまったくありません。

医療目的外処方の解消を
目指した「ヒルメナイド」とは

 一方でこの市場に、化粧品(医薬部外品)よりも効能が高い第2類医薬品で割って入ることになった先行商品が2つあります。一つが今回問題になっている健栄薬品の「ヒルマイルド」、そしてもうひとつがマツモトキヨシが発売したプライベートブランドの「ヒルメナイド」です。

 実は「ヒルドイドについての医療目的外処方の問題」に対する取り組みとしては、マツモトキヨシがいち早く対応をしていて、『ヒルメナイド』は2018年9月に「ヘパリン類似物質含有クリームを本当に必要とする患者さんの不利益になってしまう」ことを避ける目的で発売し、世間の注目を集めたという経緯があります。

 そして、その流れに乗るかたちで2020年6月に登場したのが、今回問題になっている「ヒルマイルド」です。King & Princeの永瀬廉さんをCMキャラに起用して、本格的にマツモトキヨシに対抗しようとしていた矢先に、今回の訴訟が起きたわけです。

 こうした経緯を踏まえて、野暮を承知で指摘させていただくと、「類似性」によって「混同」して買ってしまう恐れがあるために損害を受ける可能性がある商品は、「ヒルドイド」ではなく、むしろパッケージやネーミングが似ているマツモトキヨシの「ヒルメナイド」のはずなのです。ここが、論理的にはおかしな点ではあります。