番組では、生活保護の利用抑制のさまざまなパターンについても解説した。具体的には、福祉事務所の窓口で生活保護の申請を断念させる「水際作戦」、申請を受け付けて生活保護も開始するものの就労指導を口実として生活保護から強引に脱却させる「硫黄島作戦」、生活保護以外の制度を紹介して生活保護は申請させない「沖合作戦」である。これらは、コロナ禍下にある現在も「ない」とは言い切れない。

 また扶養照会も、「適正化」の文脈の中にある。親や兄弟に知られるのを怖れて生活保護を申請できないという悩みは、極めてありふれている。

不正受給をほとんど生み出さなかった
生活保護の70年間

 話題は次に、生活保護の不正受給に移った。

 パーソナリティの斉藤一美氏は、話題を切り替えるにあたり、「お笑い芸人のお母さんが生活保護を不正受給していた事件がありましたけど」と語った。筆者は内心、「えっ」と思った。

 というのは、お笑い芸人・河本準一氏の母親が単身で生活保護を受給していた件は、2012年4月から6月にかけてメディアで大きく取り上げられていたけれども、どこにも「不正」「不適切」といえる部分はなかったからだ。河本氏は福祉事務所と協議のうえ、母親の扶養義務も果たしていた。しかし「不正受給ではないですよ」と修正する時間はなさそうだ。

 筆者は踏み込むのを控え、件数や金額について淡々と述べた。生活保護制度が現在の形になったのは1950年であるが、以後70年間、「不正受給が多くて大変」という状況は一度もなかった。不正受給は、金額でいえば保護費総額の0.5%前後で推移している。言い換えれば、99.5%は適正受給なのである。