ジョー・バイデン米大統領は、気候変動問題を中心課題に据えることに熱心だ。それは、激しい論議を呼ぶだろう。交換取引は複雑であり、政治的対応も難しく不透明だ。しかし最大の難問は、国際関係、特に米国の最大の敵である中国との交渉だ。バイデン政権は、世界の環境問題に関する目標と、対中戦略をすり合わせる方法について、わずかでも考えているのだろうか。早期の兆候は芳しくない。善かれあしかれ、ドナルド・トランプ前大統領の下では、気候変動問題は中国との交渉の優先リストに入っていなかった。しかしバイデン氏にとって気候変動は、最重要課題だ。北京の視点で見るならば、これは米政府を外交用語で言うところの「demandeur(何かを頼む側)」にしてしまう。それは、さまざまな交渉において、好ましい立場ではない。気候変動問題で、中国が何らかの行動を起こすことをあなたは望んでいるのかと、中国の習近平国家主席は問いかけるだろう。そのためにあなたが中国に何をしてくれるのか話し合おう、と。