高校のキャリア教育や
中学校の探究学習などで活躍

 これまで学校から同サービスに寄せられた案件は、キャリア教育の授業、探究活動の伴走、ICT教育推進の支援など多岐にわたる。オンラインを活用して遠方から参加する例も多い。

 例えば昨年10月、富山県立滑川高校では、東京在住のNTT東日本の社員をはじめ、来年度教員となる大学院生、様々な専門分野の大学生など、10人の複業先生がリアルおよびオンラインで参加し、キャリア教育の授業が行われた。複業先生自身の進路選択や現在の働き方などのリアルな話に、生徒たちは釘付けに。質疑応答では活発な質問があがり、複業先生が丁寧に答える場面もあった。

 また、同年11月からは、静岡県下田市立下田東中学校の総合的な学習の時間で行われている地域活性化をテーマとした探究学習に、長野県塩尻市役所職員と地元の起業家の2人が複業先生として参加。最初の授業では、複業先生それぞれの経験に基づく、地域の魅力発信のポイントなどについて講義やグループワークを実施した。以降も複業先生がオンラインで支援を行いながら探究学習が進められた。

多様な専門・価値観をもつ「複業先生」が、学校現場を変える?探究学習に取り組む下田東中学校の生徒たちと、それをサポートする複業先生(写真中央のジーンズを履いている女性) 写真提供:LX DESIGN

 こうした複業先生の授業は、「リアルな社会が子どもたちに伝わった」「いろんな人からの情報で子どもたちのチャンスが広がると思う」など学校現場から好評を得ている。生徒は多様な大人の話から「世界って広いんだ」「好きなことをやっていいんだ」と気づき、考え方や生き方が変わることもあるという。

 とはいえ、こうした外部人材活用に高いハードルを感じている学校はまだ多い。これまで経験のない学校が一歩を踏み出せるよう、同社は複業先生の実績を積み上げ、働きかけていく方針だ。

「学校の先生が子どもに向き合うという本来の役割に集中できることが、子どもたちにとっても、先生自身の満足度の面でも望ましいかたち。それを複業先生との役割分担によって可能にし、教室を先生にとっても子どもたちにとっても豊かな空間にしていきたいと思っています」(同)

 これからの社会を担っていく子どもたちを、いかに育てるか。教員でなくても、子どもをもつ親でなくても、私たちみんなにとっての課題といえる。学校外の力も学校に注ぐことで、教育がより豊かになっていくことを願いたい。

(藤崎雅子/5時から作家塾(R))