小売り・外食の業績は二極化、鍵を握るのは「経営者」【緊急分析・コロナ直撃4業種】マクドナルドでは、スマートフォンで注文・決済して受け取りができるアプリなど、デジタルを駆使して顧客の利便性を高めている

【外食】
大手は軒並み赤字に転落も
ファーストフードは回復早い

 コロナ禍で外出自粛が広がる中、大きな影響を受けた業界の一つが外食だ。東京商工リサーチによれば、20年1〜10月の飲食業の倒産件数(負債1000万円以上)は730件(前年同期比9.2%増)に達し、通年(1〜12月)で最多だった11年の800件を上回り、年間で最多件数を記録することがほぼ確実となった。

 主要な外食大手の直近の決算を見ると、ほとんどが赤字に転落しており、厳しい状況がはっきりと表れている。

 業態別に見てみると、ファミリーレストランや牛丼チェーンが大打撃を受けている一方、ファーストフードは健闘している。日本マクドナルドHD、日本KFCHDはいずれも半期で黒字を確保した。

 何が業績の明暗を分けたのか。ヒドゥンジェムズの朝永氏は、「コロナ禍でデリバリーが増えた側面はあるがそれだけではない。例えばマクドナルドがここまで好調なのは、コロナ前から『KODO』などの公式アプリで客とのコミュニケーションを促進し、デジタルを駆使して客が利用しやすい環境を整えてきたからだ」と分析する。

 一方でファミレスが苦戦しているのは、「時代が変化する中でやるべきことをやっていないから」(朝永氏)だ。例えばメニューにしても、いまだに和食から洋食、中華までそろえており、効率が悪い。同じレストランでも、サイゼリアのようにメニューをイタリアン専門にすることで効率を高めている企業もある。同社も決算は赤字だが、赤字幅はすかいらーくHDやロイヤルHDよりも小さい。