日本人が4、5人で束になって、外国人選手主体の強い相手に挑んでいるさまは、私が見ていても、すべてが荒々しく、面白いバスケです。

 日本のバスケには外国人選手頼みというところがあります。とにかく目の前の勝利を拾わなければならないB1はそれでもいいかもしれませんが、B3の、しかも変革の一歩を踏み出したばかりのブロンコスのようなチームが、外国人選手の力に頼ったバスケで勝ちを拾ってみせても、面白くないというのが私の個人的意見です。シーズンに入る前にも、8連敗したつい先日にも、外国人選手をもう1人獲得するチャンスがありましたが、あえて見送りました。お茶を濁したように補強をしても仕方ないですし、1年しか在籍しないかもしれない助っ人の力で中途半端に強くなっても仕方がないからです。それで中途半端に数個の勝ち星を挙げたとしても、目の肥えたファンは納得してくれないでしょう。大切なのは、チーム全体が成長することです。見守っていて、楽しいかどうかのチームづくりです。

 チームを成長させるには、日本人で、複数年ブロンコスにいてくれる選手、さらには地元出身の若手選手も必要です。「出身」ではありませんが、地元の大学生に特別指定選手枠で参加してもらうことになったのも、こうしたチームづくりを楽しみに感じてもらって、見る人の心を躍らせたいと考えたからです。

第1巻が見られるのは今年だけ

 私は昨年までにブロンコスをゼロリセットしました。チーム構成、コンセプト、財務など、全てを一度ゼロにし、そこからスタートさせることはどうにかできました。今がゼロですから、後は上がっていくだけです。ゼロから成長していく過程をファンに見せられるチームは、なかなかないと思います。

 もちろん、これまで説明してきたようなチームづくりは、誰もやったことがないことなので、難しさはあります。成長の過程をどう見せていくか。全ての試合を1カ所で集中して開催できるなら、毎回会場に見に来てもらえばいいのですが、そういうわけにもいきません。従って、オンラインでのコンテンツ配信が必須になると思います。YouTube、Twitter、それから最近話題を集めているClubhouse。それらのSNSを使って、リアルタイムでチームの様子を伝えていくことが必要です。

 チームの成長ストーリーの「第1巻」が見られるのは今年だけです。これを見逃すと、ストーリーの面白さは半減する。そんな「日本人メインで強い者に立ち向かう第1巻の、未成熟な荒々しさの凸凹感」をファンの皆さんにお伝えしていきたいと思っています。