初代の名が入った創業からの看板初代の名が入った創業からの看板 Photo by Yohko Yamamoto

全量、吟醸造りを目指して!
美酒を極める小さな造り酒屋

 芸術家、池田満寿夫氏の躍動感溢れる「勝駒」の揮毫ラベル。清都酒造場3代目の清都康介さんが仲間と共に、蔵の酒を愛した氏に宴席で依頼して実現した。ラベルには「富山の小さな手造り酒やです。5人の造り手で、そう、こっぽり(沢山)とはできません」と蔵の姿勢も紹介される。

「新鮮な富山の魚に合う、きれいな酒を目指しました」と康介さん。

 創業は1906年。康介さんの祖父、慶介さんが日露戦争から帰還後に千保川近くで酒造りを開始。銘柄「勝駒」は戦勝を記念して命名された。明治期築の木造2階建ては国の登録有形文化財で、切妻造り、桟瓦葺と風情があるが、酒造設備は酒質第一で整備する。

 今のスタイルの勝駒の誕生は、30年前に遡る。高品質の酒を目指した康介さんが、当時まだ珍しかった吟醸酒造りへと舵を切った。能登杜氏の川原康義さんを招き、最高峰の酒米、山田錦で吟醸酒に挑戦。その酒が高評価を受けて人気酒に。

 今、代表的な商品は、兵庫県産山田錦で醸す大吟醸と純米吟醸、富山県産五百万石で醸す純米酒と本醸造。酵母は金沢酵母のみと潔い。純米酒の精米歩合を見て驚く。玄米を半分磨いた50%で、大吟醸を名乗れる高品質。他の酒も精米歩合が高い。「不容偽(偽りを入れず)」が酒造りの信条と康介さん。

 量産せず、良心的価格で、美酒をひたすら極める。その美学を引き継ぐのは、4代目の浩平さん。さらなる美酒を極めていく。

勝駒 純米勝駒 純米
●清都酒造場・富山県高岡市京町12-12●代表銘柄:勝駒 特別大吟醸、勝駒 大吟醸、勝駒 純米吟醸、勝駒 本仕込 特別本醸造●杜氏:社員杜氏●主要な米の品種:山田錦、五百万石