診断の数値が高かった人は、好きなことだけをやっているわけではない。生きがいを要素分解した「IKIGAIベン図」というものがある。それによると、「好きなこと」、「得意なこと」、「世の中の役に立つこと」、「収入が得られること」の4要素を満たす生き方が幸せになりやすいという。「好きなこと」を生きがいの入り口として、他の3つの領域に膨らませていくことで、今以上に幸せになれる可能性が高まるのだ。

「得意なこと」はクラスで一番くらいのレベルでよい。決して世の中の1番になる必要はない。また、「収入を得られること」も、ハードルを高くしないほうがよい。まずは1000円を目指そう。これはスモールステップ理論という。小さな目標を1つずつクリアすることで、目標達成率を上げられる。

 前野氏の研究によると、この4つの要素が重なる生き方を始めるのに年齢は関係ないという。例えば、20代より80代のほうが、物事を俯瞰できるため幸福度が高くなるという研究結果もあるのだ。人生100年時代の幸せづくりは焦る必要も、諦める必要もない。

◇働きながら幸福度を高めるには

 米ペンシルベニア大学教育学大学院の研究によると、「幸福度の高い社員の創造性は幸福度の低い社員の3倍高く、生産性は31%、売上は37%高い」という。つまり、幸福度が高い人ほど優秀な人材なのだ。

 成果への対価として「給料アップ」は一般的だが、それは時代遅れかもしれない。実は、時間とお金のどちらに意識を向けるかによって、幸福度が変わってくる。「この時間をどう使おうか」と、時間のことを考えている人は、よりよい人間関係を築こうという発想につながりやすい。一方で、「どれだけ稼げるか」とお金のことを考えていると、働くことばかりに意識が向く。よって、前者のほうが幸福度を高める考えや行動に結びつくというわけだ。「もっとお金を稼がなくちゃ」ではなく、「お金を稼いだらそのお金でどんな時間を過ごそうか」と考えてみる。そのほうが、幸福度が高まり、成果につながりやすい。

 さらに、夢や目標は、実現することではなく、それらをもつことが重要である。夢や目標をもつだけで幸福度が上がる。今の仕事が自分の夢や目標につながり前進しているという実感があれば、モチベーションがますます高まっていくのだ。