「北京化」する香港の今、筆者が見た国家安全法施行から8カ月の現状香港版「国家安全法」が施行されてから約8カ月。香港の今は? Photo:Anthony Kwan/Getty Images

「国家安全法」施行から8カ月
今、香港はどんな状況にあるのか

 物議を醸してきた香港版「国家安全法」が施行されてからもうすぐ8カ月になる。

 この期間、民主派議員が議員資格をはく奪されたり、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏、周庭(アグネス・チョウ)氏らが「無許可集会の扇動罪」で実刑判決を言い渡されたり、2014年の「雨傘運動」を提唱し、その後も香港の民主化運動に関与してきた戴耀廷(ベニー・タイ)香港大学准教授が解雇、その後逮捕されるなど、中国共産党、およびそれに従属する香港政府による「香港民主化」への圧力と統制はあからさまに強まった。

 直近では、香港紙『アップルデイリー』創業者で、国家安全法違反で起訴されている黎智英(ジミー・ライ)氏に関して、香港の終審法院(最高裁)が、保釈に対する検察側の異議を認め、引き続き収監を命じている。以下で紹介する言論の自由をめぐる状況だけでなく、香港基本法で保証されてきた司法の独立の今後を占う上でも、黎氏の案件は極めて重要な意義を持つであろう。いずれも、言論、司法を含め、国際金融センター、自由都市香港の未来と命運を左右する要素であるのは論をまたない。