それは「会社から求められる業績」は、リーダーひとりでつくるのではなく、部下とともにつくり出すものだからです。
「リーダーひとりががんばる」では何も解決しない。
部下にがんばってもらって、チームとしての業績を上げるしかない。
でもウチのチームの部下は、なかなか業績を上げてくれない。
このように「会社から求められる業績に対するプレッシャー」が「部下とのコミュニケーションに関する悩み」に転換されているのが、「1万人のリーダーが抱えている悩み」に見られる大きな傾向といえます。
言い換えれば、リーダーの「悩み」の大半は、「会社から求められる業績を上げられない部下に対する悩み」なのです。
上司(会社)は業績を上げれば黙る。しかし部下は?
もちろん、部下に対する悩みばかりではありません。
1万人のリーダーのほとんどはミドルマネジメント層、いわゆる中間管理職です。
リーダーが課長であれば、上司である部長に対する悩みも寄せられます。
ただ、「上司に対する悩み」は総じて、業績を上げれば解決するものがほとんど。
あなた(あなたが率いるチーム)が業績を上げ続けているのであれば、大した問題になりません。「業績」を献上することで、上司を納得させることができます。
会社の業績が厳しくなればなるほど、業績を上げてくれる人材は大切です。
しかし、あなたの部下には、その理屈は通用しません。
部下を業績で黙らせる、というわけにはいかないのです。
なぜなら「業績」とは、リーダーひとりでつくるのではなく、部下とともにつくり出すものだからです。
一方で、部下全員と仲良くすることが、必ずしも業績アップにつながるかどうかはわかりません。
「仲良しグループだけれど成果は出ていない」。これではチームが機能しているとはいえませんし、リーダーの仕事をしているともいえません。
つまり、リーダーが絞るべき焦点は「部下とのコミュニケーション」そのものではなく、チームとしての「業績」。その業績を出すのに必要なマネジメントを機能させることができれば、悩みは自然と解消されていきます。
部下を辞めさせず、病ませず、そして目標を達成するために
ただし、気をつけていただきたいことがあります。
私はここまで何度も、業績、業績と言い続けてきました。リーダーが抱える悩みの根本は「会社から求められる業績に対するプレッシャー」ですから、そのプレッシャーを解消するには「業績を出すためのマネジメント能力」を身につければいい、というのがひとつの真実ではあります。