「お金持ちになるにはどうしたらいいのか」という疑問にこの連載ではいろんな角度から答えを示していきます。お金持ちなら誰でも知っている秘密を明かしていきます。
その疑問の答えにたどり着くには「お金」「経済」「投資」「複利」、そして「価値」について知っておく必要があります。少し難しい話も出てきますが、今は完全にわからなくても大丈夫です。
資本主義の仕組みについても、詳しく解説していきます。なぜなら、資本主義の世界では、資本主義をよく知っている人が勝つに決まっているからです。
今後の答えのない時代において、どのように考えながら生きていけばいいのか、ということもお話ししていきたいと思います。さあ、始めましょう!
(もっと詳しく知りたい人は、3月9日発売の『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)を読んでください)
価値は自分が決めるもの、
価格は他人が決めるもの
皆さんはお正月に「福袋」を買って後悔したことはありませんか? 福袋の中にはサイズの合わないTシャツだとか、なんじゃこの色は、というようなパンツとかいろいろ入っていて、実際に着られそうな服は思ったより少ないのではないでしょうか。
確かに入っているモノの総額は、定価の半分とか3割の値段で売られているのですが、結局は入っていた多くの服を他の人にあげたり、きょうだいに押し付けたりしたのではないでしょうか。
これを古くから「安物買いの銭失い」と言います。英国にも「Penny wise, Pound foolish」という同じ意味のことわざがあるくらいなので、この種の後悔は万国共通なのですね。
お金の機能として、「価値尺度機能」があります。多くの人にとって価格は、価値とイコールであるとみなされています。しかし、「価値=価格」だと信じている限り、君たちはお金持ちになることはできません。おそらくお金の奴隷になってしまうことでしょう。どういうことか説明しますね。
たとえば、君たちが靴屋さんに入って、お目当ての1万円のスニーカーの隣に、3万円のスニーカーが置いてあったとします。きっと君たちは、3万円のスニーカーは自分が欲しいやつよりもいいやつなんだろうなぁと思いますよね。いい素材を使っているとか、クッション性などの機能が優れているとかでしょうか。
このように、多くの人たちは「高いモノには価値がある」と考えてしまいます。でも、その考え方は間違いです。「価値」と「価格」は全くの別物です。
価値は自分が決めるもの、価格は他人が決めるものなのです。
「価値と価格」は、ともすれば混同しやすいものです。価格とは何か、価値とは何かという点をきちんと整理して理解できれば、人生において無駄な買い物をせずに済みますし、物事の本質を見抜く目を持つことができるようになるはずです。
参考記事
世界を変えた小さなハコ
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)など。