放送日は各局の編成事情によって3月11日の当日から、その前後の平日昼間や深夜までさまざま。幅広い層が見やすい時間帯とは言い難く、番組によっては見逃し配信を行うフォローアップがなされている。視聴スタイルの変化に合わせて、伝えるかたちを見直すことも身近なメディアであるテレビの役割のひとつにある。

 系列を越えた連携はキー局だけの話ではない。地震そのものの被害だけでなく、津波や原発事故の影響を大きく受けた福島の地元テレビ局も今年は連携しているのだ。

 民放4局とNHKの5局各局の報道局が中心となって、県内初の全局キャンペーンとして、「福島to 2021 -あれからと、これからと→」を開始したのは2020年11月11日。共同のテレビスポットキャンペーンを通じて、未来に向かってチャレンジを続ける県民のメッセージを届けている。さらに5局が完全タッグを組んだ特集ニュース企画が実施されたり、各局看板の情報ワイド番組で3月11日当日には一斉に夕方のニュース枠で被災地5カ所からリレー中継も行われた。

 これらの取り組みの背景には、福島のテレビ局5局にとっても「県民のために今できること」を同時に見つめ直す必要性があると考えられたことがある。復興を後押しし、この先も復興を考えていくきっかけを作ることが重要だったのだ。

フィクションで描く震災10年の心情

 また、NHKは大型プロジェクト「あの日、そして明日へ~それぞれの3654日~」を独自に展開した。連日にわたり、ドキュメンタリー、情報番組、アニメ、音楽とさまざまな角度から震災を複合的に届けたのだ。

 さらに、時間の経過とともに、人それぞれの向き合い方の違いが出てきている今だからこそ、心情を間接的に表現できるドラマもこういった取り組みで生かしやすい。

 そこでNHKが企画した単発ドラマのひとつが、主演に綾瀬はるかと池松壮亮を迎えた特集ドラマ『あなたのそばで明日が笑う』(3月6日放送、総合テレビ)だった。物語の舞台は津波による大きな被害を受けた宮城県石巻市。脚本を担当した三浦直之と、音楽の菅野よう子は共に宮城県出身だ。行方不明の夫を待ち続ける女性、真城蒼役を綾瀬はるかが演じ、池松壮亮は震災を知らない建築士の葉山瑛希役を演じた。2人の出会いから、前を向き、歩み始めるまでの心の葛藤を丁寧に描くドラマだった。

「東日本大震災10年」の企画ドラマではあるが、それはきっかけにすぎないものであることを「区切りなんてつけなくていい。」というセリフに乗せた。人それぞれのタイミングがあって良いことをこのドラマが最も伝えたいメッセージとして印象付けた。