東日本大震災の発生から10年がたつ。しかし今年2月には、東日本大震災の「余震」とされる最大震度6強の地震が福島県沖で発生するなど、今もなお震災の影響は続いている。また、南海トラフ地震など、日本ではさまざまな地域で巨大地震発生リスクが存在する。今、警戒しておくべき地震とは。東京大学地震研究所・地震予知研究センターの佐藤比呂志教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
東日本大震災から10年
今もなお残る地震発生リスク
――東日本大震災から10年となりますが、2月13日には福島県沖でマグニチュード7.3の地震が発生しました。この地震の発生要因についてどうみていますか。
今回の福島県沖地震の発生には、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)後に起こった変化が影響していると考えています。
東北地方においては陸側のプレートの下に、海側から太平洋プレートが沈み込んでいます。10年前の巨大地震は、このプレート同士の境界面が大きくずれ動いたことで起こりました。
一方で、今回の福島県沖地震は沈み込んでいる太平洋プレートの内部が、地下の非常に深いところで割れたことが直接の原因とみられています。なぜ割れたかというと、プレートに対してほぼ東西方向に強い力がかかっていたからです。そして、この強い力がかかっていた背景に、3.11の巨大地震による影響があります。