藤井聡太も、ビル・ゲイツも、ビヨンセも…
すごそうだけど、学費高い!?

 オルタナティブ教育と一概にいっても、細かく言うと理念や教育法が違うのだが、少人数制クラスを採用している点、子どもの自主性を尊重する点などはおおまかに共通する特徴だ。
 
 先に挙げたモンテッソーリ教育は1900年代初頭に出てきた教育法で、子どもが自分を成長させていく「自己教育力」を教育でサポートする、といった理念をベースにしている。0歳から教育されるべきことが整備されていて、3~6歳の授業には料理や掃除をする「日常生活の練習」や、感覚器官を刺激する「感覚教育」などが取り入れられている。小学校では普通の小学校のような決められた時間割がなく、児童が学びたいことを自分で選ぶ、といったことが行われているらしい。
 
 モンテッソーリ教育を受けた著名人には、将棋棋士の藤井聡太氏やビル・ゲイツ氏、歌手のビヨンセ氏、オバマ前大統領などがいる。海外では有名な教育法らしく、少し調べてみるだけでモンテッソーリ教育育ちの超エリート人材がザクザク出てくる。
 
 ただ、モンテッソーリ教育をはじめとするオルタナティブ教育の主だったネックは、国内で受けられる教育機関が少ないことと、学費が高い傾向がある(私立の2倍程度という話もある)こと、学校によっては卒業資格を得られない場合があることあたりであろうか。
 
 とにかく斬新で、実態がよくわからず怪しげにも見えつつ、すごそうな気配も感じ、学費が高い…これがオルタナティブ教育にまつわる現時点での一市民の印象である。実績が十分すぎるほどあるにもかかわらず、わが子に施す教育として最終決断を下すのにはどうしても躊躇(ちゅうちょ)が生じてしまう。心のどこかに懐疑的な部分があって、そこが引っかかるのである。
 
 この感覚はレーシック手術に対するものに似ている。視力に難を抱える人に魔法のような先端テクノロジーを示してくれたレーシック手術だが、ワーッとはやった当時、速やかに手術を受けて視力が回復した生活を謳歌する人と、静観するままの人の二派に分かれた。筆者は後者である。
 
 手術が簡単に済み、また安全であることがうたわれていても手術を受けなかった人たちは、おそらくリターンよりリスクを重く見ていた。「万が一手術が失敗したら」「今は良くてもこの先数十年後は平気なのか」「もし後遺症が残ったら」などの不安が解決されないまま手術に赴くことはありえない。慎重とも臆病とも言える。
 
 オルタナティブ教育にはモンテッソーリ教育のように実績や伝統のあるものが多いが、何しろ日本で知られ始めたのが比較的近年であるから、慎重派の信頼を獲得するための時間がまだ十分経過していない、というのが現状である。