キャリアアップ志向が強く、数年間で転職する中国人は日本人に比較して会社への忠誠心はあまりない。給料の高い企業や昇進させてくれる企業が見つかればすぐに転職するのは当たり前と考えている。日本企業の人事はコミュニケーションや派閥に左右されがちで、個人の業績より部署の業績を大事にしているが、中国では企業に働く限り、自分の業績を上げ自己の能力をアップするのが自分の務めだという常識がある。

 それだけ集中して自分の仕事をするため、上司の顔色を伺いながら残業している日本人を理解できない。

 上司のことより同僚のことより、自分の成績が一番。自己アピールが大事だから、「自分の仕事さえ終われば、残りの時間は何をやってもいい」と考える傾向にある。だから自分の仕事が終了した後は、外出したり電話で長話するのも当然と考えるのだ。

 ところが日本人はチームワークを重要視するため、自分の仕事が終わったら他人の仕事を手伝う人が多い。個人主義が強い中国人の特質は、協調性を重視する日本人の特質とはかけ離れているのだ。

今後は日本人でも
公私混同社員が増えていく

 忙しい中でも我関せず、自分の用事のため外出したり私用の電話をしている中国人を見て、「常識がない」「仕事中に何やっている」と日本人がいくら怒鳴っても、そもそも根底にある意識が違う。中国人にとってみると、自分の何が悪いのか理解できないのである。

 だから、中国人社員に対しては、「電話代金がかかること」「会社全体に関わる仕事は助け合ってすること」「取引先が訪問したり電話がかかってきたときに外出していたら仕事が滞り、チャンスを逃すこと」などをいちいち説明する必要があるのだ。それも、一からこと細かくわかりやすくポスターに書いたり、契約書に明記することも必要である。

 しかし、私は同じような光景を中国以外でも見たことがある。

 日本の大学である。授業中に携帯電話で長話する学生。授業中に化粧だけでなく、ドライヤーで髪を整える女子学生。お昼を食べる時間がなかったからと授業中に堂々と飲食をし続ける学生。先生の話を聞く前に質問したり、ののしる学生たち。

 少子化のせいか、ゆとり教育のせいか、やってもらって当たり前、最近の学生は、感謝の気持ちがかけらもない。その傾向は例年強くなっている。注意してもなぜ悪いのか理解できず、他人に迷惑がかかるということを、時間をかけて3回以上説明してやっと理解してもらえる始末だ。

 いいかえれば、これからの日本は、会社に忠誠心がなくなる新人類も増えれば、自分の仕事さえ終われば何もしない社員が増えていく懸念が大きい。自分の業績を上げる努力もしない分だけ、むしろ中国人社員以上に難しいといえるかもしれない。