あなたを取り巻く仕事環境は、以下のような3つの課題を抱えていないだろうか。

(1)集中力を奪う何かがある:作業場所には、しばしば電話が掛かってくる、あるいは、しばしば訪問者が訪れ、その都度、作業が中断される。

(2)見逃し・見間違いを誘う何かがある:部屋が暗ければ、文字の見間違いが生じやすい。

(3)報告しづらい何かがある:一部の古い組織では、新人などが上司に報告しづらく、おかしなこと、間違いなどの報告を躊躇することがある。

 このようなことを考えると、ヒューマンエラーは、個人に起因するものでなく、組織に起因するエラーと考えられる。「組織エラー」と呼ぶ専門家もいるほどだ。

ヒューマンエラーの4種類
作為か不作為か、自覚しているか否か

 さらにヒューマンエラーは、4つに分類することができる。

 何らかの行為を行うことを「作為」、行為を行わなかったことを「不作為」という。さらに、「作為」「不作為」では、行為者が自覚している場合と自覚していない場合があり、その違いによって4つに分けられる。

1.作為: 行ったことが、適切でなかった

(1)行ったことを自覚している

 2004年4月 英国リバプールストリート駅で172人の会社員に、「職場で利用しているパスワードを回答したら、チョコレートバーをあげます」の調査で、172人の内、120人余り(71%)が、パスワードを教えたという。

(2)行ったことを自覚していない

 1994年11月、米国ワシントンDCで開催されたセキュリティの国際会議・展示の夜間特別セッション「Meet the Enemy(ハッカーと語ろう)」で、ハッカーと会議参加者(セキュリティ専門家)の電話会議中に、割り込んできた電話会社のオペレータはハッカーとの会話で、自分のユーザIDとパスワードを教えてしまった。 オペレータは、教えた自覚もなく、教えた後にハッカーの言葉に従い電話会議を退出した。