スシロー
過去の「スシロー改革」に学ぶ、外食企業がコロナ禍を生き残る要諦とは Photo:Diamond

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コロナ禍でも勝ち続けるスシロー
原動力となった10年前の経営改革

 コロナ禍にもかかわらず、回転寿司チェーン「スシロー」の業績が好調だ。あまり知られていないことだが、それには10年前に同社で行われた経営改革が奏功している。あくまで結果論だが、「パンデミックを見据えた準備をしてきたのではないか」と思えるほど、コロナ対策との相性がよいのである。

 実は筆者は、約10年前となる2009年から2011年まで、あきんどスシロー社をエグゼクティブアドバイザーとして経営支援した。当時のスシロー改革の具体例は、前回の記事で述べた通りだ。ここからは、足元で大変な試練に直面している外食産業が経営を立て直すための要諦を、スシロー改革の経験を基に考えてみたい。

 筆者は、長い目で見れば国内外食産業は魅力的な産業だと思う。直近はコロナ禍でかつて経験したことのない苦境に直面しているとはいえ、この1~2年を乗り切れた企業は、その後大きな果実を手にすることができるのではないか。

 食の需要は人の胃袋の数だけ存在するため安定的な需要があるし、個人世帯が増え続けているため、家庭内調理は非効率で外食に需要がある。さらに外食は中食や内食にはない最高のエンターテインメントになり得る。数年すれば、インバウンド需要も回復するであろう。

 しかし、直近1~2年は非常に厳しい。2020年11~12月に本格化したコロナ第3波で、1年を通して最大の繁忙期である12月の需要が大きく落ち込んだ。結果として、年末を乗り切れない企業や店舗が続出した。さらに、直近の緊急事態宣言で、営業時間の短縮が続いている。今後倒産が増えれば、空き店舗が増え、新たに入居する店舗がなければ物件の賃料が下がる。裏を返せば、直近の厳しい1~2年を乗り切れた企業や店舗は、大きな残存者利益を手にできる可能性が高いのである。

 たとえば、コロナ禍でも焼肉業態は絶好調だ。食材としての肉ブームが続いているうえに、店内の換気がよく、基本的には自分で肉を焼くため、消費者の安心感を得やすいのである。

 しかし、不安はコロナばかりではない。小泉環境大臣が2019年9月、気候変動サミットに出席するタイミングでステーキ店に行き、批判を浴びたように、そもそも牛肉をはじめとした畜産は環境フレンドリーではない。菅政権になり、カーボンニュートラルが宣言されたが、「焼肉=食べるべきではない」という空気が強まる時代が来るかもしれない。Go Toキャンペーンで経験した通り、日本社会は政策や芸能人のSNS投稿、マスコミの報道などによって、空気が一気に変わりやすい。そして国民は、激しい同調圧力にさらされる。