大林組大林組の蓮輪賢治社長 Photo by Masato Kato

長年大阪を地盤としてきたゼネコン・大林組の蓮輪賢治社長が、同社として初めて、業界団体である日本建設業連合会(日建連)の建築本部長に就いた。大林組初の日建連会長が射程に入るのかどうか、リニア中央新幹線の談合事件が影響しそうだ。(大手ゼネコン勤務 建山堀男)

業界団体“三役”を独占してきた
スーパーゼネコン“在京3社”

 どんな業界でもそうですが、建設業界にも業界団体があります。日本建設業連合会、略して日建連(にっけんれん)。

 かつては日本土木工業協会、建築業協会、日本建設業団体連合会(旧日建連)と3つの団体があったのですが、2011年に合併して現在の組織になりました。まさに業界の“総本山”といえます。

 会長の選任については独特の慣例があり、会長になるのは鹿島、大成建設、清水建設の3社の社長または会長ばかりです。

 この3社は、大林組と竹中工務店を加えたスーパーゼネコン5社の中でも、東京で長年本社を構えてきたため「在京3社」と呼ばれています。

 ゼネコン業界になじみのない方のために申し上げると、明確な根拠やルールはないのですが、連結売上高が1兆円を超える上記の大手5社をスーパーゼネコン、5000億円前後を「準大手」、1000億円前後を「中堅」と呼んで区別する習わしがあります。

 現在の日建連会長は、大成建設の山内隆司会長。副会長には、5社のうち会長を出していない4社の社長または会長が就きますが、これまで会長と、副会長が兼務する建築本部長、土木本部長の「三役」ポストを在京3社が独占。しかも会長ポストは旧日建連時代から、基本的に鹿島、大成建設、清水建設の3社で回してきたのです。

 旧日建連7代目会長だった清水建設の吉野照蔵会長(当時)が93年にゼネコン汚職事件で逮捕された際は、鹿島、大成建設の首脳クラスも同様に逮捕されたため、急遽、前田建設工業の前田顕治社長(同)が会長に就いたことがありましたが、これはあくまでも緊急登板でした。

 さて今年、そんな日建連の3役人事に異変が起きたのです。