しかし、そうした不安な気持ちを抱えながらも、自分自身で試行錯誤しながら初めてのオンライン就活に取り組んだのが、今年の新入社員たち。コロナ禍で孤独な就職活動となった一方で、自分の力で工夫し、たくましく就職活動を乗り越えたという意味を込めて、「ソロキャンプ」という言葉を選びました。

 また、孤独を感じてつらいばかりではなく、「オンライン面接だと緊張しない」「オンラインだからこそ自分が伝えたいことを伝えられた」というような感想も聞かれました。新しい就活スタイルに、自由さや気楽さを見いだした学生も多かったようです。

 ただ、オンライン化のメリットを感じつつも、やはり「仲間が恋しい」。孤独な就活だったからこそ、改めて社会とのつながりの重要性を強く感じているというのも、今年の新入社員に見られる傾向の一つだといえます。

――従来行っていた、内定者が集まっての懇親会や社員との面談もオンラインに切り替えた企業が多かったようですね。

 オンラインでしか新入社員と会ったことがないという企業も珍しくありません。オンライン上で懇親会や面談の機会を多く設けたり、会社説明会でカメラ越しに社内の様子を紹介したりする企業もありますが、やはり新入社員は企業の実態がつかみきれずに不安に思っていると思います。

 また、従来は就職活動の過程で企業を訪問するときのマナーや社内の雰囲気などを自然と理解することができていましたが、それもコロナ禍では難しかった。もしかすると入社後、上司や先輩社員から見ると常識的でないと思われる行動をする人がいるかもしれません。

 ただ、コロナ禍でギャップが生じてしまっているのは、企業も新入社員もある意味お互いさま。まずは温かい目で受け入れることを心がけていただきたいです。新入社員がどういう人なのか、受け入れる側の企業は今まで以上に丁寧に理解を深め、教育に取り組むことが必要です。

関係性の浅い上司と新入社員
一対一のオンライン会議はリスクも

――20年に入社した新入社員についても、リアルでの研修や指導が難しい状況だったと思います。コロナ禍で新入社員教育に取り組んだこの1年で、見えてきた課題はありますか。

 職場で直接顔を合わせることができない中で、コミュニケーションを取るために新入社員とオンライン面談の場を設けた企業も少なくなかったと思います。