レバレッジとは、より少ない労力でより大きな効果を得ることです。投資の世界では、よく使われる言葉です。たいてい、借金と同等の意味で使われます。自分のお金を使わずに、より多くのリターンを得るというわけです。

 しかし、レバレッジという単語は、もともと「てこ」を意味します。「てこの原理」の「てこ」です。「より少ない労力でより大きな効果を得ること」が本来の意味です。

 では、この2つのポイントに、どんなレバレッジが効いているのでしょうか。

日本で定期収入を得て、
安く生活できる東南アジアで暮らす

 第一のレバレッジは、為替と物価の格差という歪みの利用です。

 日本円で考えれば、日本にいるよりも安く買い物ができ、少ないお金でも生活レベルは維持できます。例えば、ホーチミンにいるときは、昼飯80円、ビール瓶1本50円程度の値段です。宿は1泊640円くらい。お湯のシャワー、テレビ、冷蔵庫、ダブルベッド、WiFi(無線LAN)もタダでついてきます。

 私は荷物を預かってもらっていることもあり、ちょっと高めの宿に泊まっていますが、もっと安く暮らすことも可能です。

 海外の生活に慣れるという別のコストはあるのですが、生活水準を極端に下げなくても、日本より安く、そこそこ暮らせます。

 このレバレッジが働くために一番大事なことは「収入を得る場所と生活の場所が分離している」ことです。

    ・国外にいながら、日本円を得ること
    ・為替差益、物価格差のある地域で暮らすこと

 この2点が実現できなければ、物価の格差を利用するというレバレッジは効きません。

 この話を聞いて、「それでは、現地で働けばいいんだ」と言った若者がいました。しかし、それではダメです。「なぜ安くなるのか」が理解できていません。

 給与所得と物価の関係を見れば、日本とベトナムではそれほど差がありません。大卒初任給3万円相当でランチが100円なのと、初任給18万円で600円の定食を食べるのは、似たような生活です。お金で買えるものの総量は大差なく、実質的な可処分所得に差はありません。

 日本円を現地通貨に換えて使うから、絶対的な安さを実感できるのです。