学生納付特例の猶予を受けた人は
就職後に早めに追納しよう
国民年金の保険料負担を下げる方法には、このほかにも経済的に苦しい人などが申請することで保険料の支払いを免除される「申請免除」というものもある。こちらは認められると、将来の老齢年金の年金額に反映される。
一方、学生納付特例は、あくまでも支払いの「猶予」で、学生の間は保険料の支払いを待ってあげる制度だ。
受給資格期間にはカウントしてくれるが、申請免除のように老齢年金の年金額には反映されない。追納しないと、老後に満額の年金を受け取ることはできず、一生涯にわたって年金額が、おおむね年間約4万円の減額になる(2年分の年金保険料を納めなかった場合)。
ただし、猶予から10年以内なら、保険料を後から納めることもできる。今は、コロナ禍で生活するのに精いっぱいのはずだが、就職したら、学生納付特例で猶予を受けた分も追納するようにしたい。
このほか、病気やケガの保障ではないが、コロナ禍による特例給付として創設された「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」は、学生のアルバイトでも対象になっている。
この支援金・給付金は、新型コロナウイルスの影響で勤務先から自宅待機などを命じられて、休業を強いられたものの、会社から休業手当を払ってもらえなかった場合に、労働者が自ら申請することで、休業前の賃金の8割(日額最高1万1000円)を給付してもらえるというもの。
当初、対象期間は2020年9月までとなっていたが、こちらも延長が繰り返されており、現在は2021年4月分の休業まで給付を受けられることになっている(申請期限は2021年7月末)。
学生でも要件に当てはまれば、給付を受けられるので、まだ申請していない人は忘れずに手続きをしよう。
緊急事態宣言は解除されたが、感染そのものが下火になったわけではい。経済を回していくために破れかぶれで解除された感がある。だが、自分自身の暮らしを守るためには、個人が破れかぶれになってしまうのは禁物だ。
生活に困窮しそうになった時、社会保険制度の給付、税金の猶予や免除、国の特例給付などを丁寧に見ていくと、使える制度はけっこうあり、コロナ禍でそれは大きく拡大されている。学生納付特例の臨時特例免除申請もその一つ。使える制度はとことん使って、少しずつ前に進みたい。
(フリーライター 早川幸子)