企業は事業の切り離しで大金を稼げる可能性があるが、切り離した事業を軌道に乗せるのは容易ではない間抜けな宣伝行為と、企業の資本配分というありきたりな課題にどんなつながりがあるのかと思うかもしれないが、人が思う以上につながっている。独フォルクスワーゲンは先月30日、米国部門の名称を「ボルツワーゲン」に変更すると発表した。しかしその後、電気自動車(EV)事業に注目を集めるためのエープリルフールネタだったと釈明し、撤回した。虚偽発表を受けて、同社の株価は5%上昇した。ドットコム時代の高揚感を思わせるほどウォール街でEVへの関心が高まっている証拠だ。フォルクスワーゲンはメッセージを伝える力や人を笑わせる技術を磨く必要があるが、それはさておき、同社がこのような宣伝を打ったことで、企業の経営陣が直面しているより本質的なジレンマが明らかになった。投資家が新しい話題に夢中になったとき、自らの価値を破壊しかねない買収を求められる企業もあれば、図らずも時流に沿った事業を展開している企業もある。後者の場合、人々の関心が薄れるまでに、資産の全部または一部をスピンオフ(分離・独立)して自社の保有事業を削減するべきなのだろうか。