新型コロナウイルスの影響で、経済的に困窮し、大学を中途退学しなければならない学生が増えている。文部科学省の調査によると、2020年4月~12月までの全国の大学や短期大学の中途退学者の数は2万8647人で、そのうちの19.3%が経済的困窮を理由に挙げる。志半ばで大学生活を諦めざるを得なかった彼らは、どのように新たな道へ進んでいるのか。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
コロナで父親の収入が大幅減
学費を払えず中退した22歳男性
都内に住む22歳の男性Aさんは、昨年の秋、大学を中退した。昨年10月に留年が決まったが、Aさんの家庭には翌年分の学費を払える経済的な余裕がとてもなかったためだ。
「父親の仕事は、新型コロナの影響が直撃して収入が大幅に減少。私のアルバイトも飲食業だったため、シフトに入れなくなってしまった。中退は即決だった」(Aさん)
大学4年生だったことから就職活動もしていたが、「それまでやりたいこともなく、優柔不断な性格もあって、なかなかうまく進めることができなかった」とAさんは振り返る。しかし、中退してしまったからには、なんとしてでも就職することを決意。それに際して就職のプロにアドバイスをもらおうと、年末にはリクルートが運営するフリーターや既卒者向けの就職支援サービス「就職Shop」を訪れたという。
カウンセリングを経て、第1志望の企業の選考を受けるも不合格になったが、第2志望だった都内のある広告代理店の選考を見事通過。2月15日に入社し、現在、営業として毎日忙しく働いている。
「正直、こんなに早く決まるとは思っていなかった。自分には何もないと思って不安を感じていたが、バスケットボールの経験などから自分の良いところを見つけていただき、自信を持って選考に臨めた。今は仕事にとてもやりがいを感じている」(Aさん)