室内は広い。エクステリアデザインや低い全高から居住性は従来比で余裕がないのでは……と思われがちだが、見た目と逆に向上している。身長170cmのパッセンジャーが後席に座った際の簡易計測で、ひざ回りはこぶし2個以上、頭上はこぶし1個の余裕があった。シートの座り心地も良好。しかも気持ちのいい開放感が味わえる。

 内装色はブラックが基本。プレイのみグレージュを設定する。デザインとのバランスを考えると、明るいグレージュは魅力的だ。2モーターハイブリッドが主役。

18インチはミシュラン標準

 ガソリン車(1.5L+CVT)はGのみ。メインは1.5L+2モーターのハイブリッド(e:HEV)だ。従来の1モーターハイブリッド(i-DCD)は、最後まで力強さと滑らかさに課題が残ったが、その弱点はe:HEVで解消されているに違いない。1.5L+2モーターのe:HEVは、大別すると、フィット用(コンパクト設計)とインサイト用(高出力仕様)がある。新型はどちらをベースにするのか、期待が高まる。

 プラットフォームや足回りは、センタータンクレイアウト以外は未公表。下回りを確認した限りは、現行フィットと同じように従来の大幅アップデート版だと予想する。なお、上級グレードのタイヤは225/ 50R18のミシュラン・プライマシー4を履く。

 開発責任者(LPL)を務めた岡部宏二郎氏は「ハンドリングは従来のRS/ツーリングを大きく超える」、「旧型で課題だった乗り心地は大きく改善できた」と語っている。岡部氏は1stモデルの開発からマイナーチェンジも担当し、旧型のすべて知る“ミスター・ヴェゼル”といえるエンジニア。岡部氏が太鼓判を押すなら、高い完成度が期待できる。

 安全機能のホンダセンシングはネーミングこそ従来と同じだが、システムは最新スペックに全面変更。機能追加(後方誤発進抑制機能/近距離衝突軽減ブレーキ/オートハイビーム)や機能向上(衝突軽減ブレーキ/路外逸脱抑制機能/標識認識機能/渋滞追従機能付きACC/車線維持支援システム)が行われた。

 新型ヴェゼルは全方位で進化を遂げた。実車を見て、触れて、開発者の思いを聞いて、期待を裏切らない仕上がりだと実感した。