中国の重症患者に何十億ドルもの現金を支給してきたフィンテック業界の技術革新が、その輝きを失い、規制当局の監視にさらされている。中国電子商取引大手アリババグループの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が率いる業界最大手アント・グループの先行きに不透明感が増している。この「相互扶助」と呼ばれる事業は、数千万人の加入者が毎月2ドル(約217円)に満たない資金を出し合い、重傷を負ったり、特定の病気(がん、重度の脳卒中、エボラ出血熱など)と診断されたりした人に最大約490万円の一時金を支給する医療共済だ。クラウドファンディング式の共済保険の考え方は、ここ数年、IT(情報技術)新興企業や大手企業が相次いで採用していた。ユーザーにメリットを提供し、自社アプリにつなぎとめる手段になると多くの企業が考えたためだ。このサービスは加入者が事前に保険料を払う必要がなく、代わりに将来の他人の給付金の費用を共有することを約束するという点で、民間医療保険とは異なるとフィンテック企業は説明する。