中国のデジタル人民元がドルの脅威になると興奮気味に語る解説者は、中国人民銀行(中央銀行)の李波副総裁の言葉を受け入れるべきだ。李副総裁は18日、デジタル人民元はドルに取って代わろうとする取り組みではないと述べた。人民元のデジタル化は政治的な意味合いや、中国政府に国内の新たな経済的手段がもたらされるという点で魅力がある。ただ、人民元の国際的な存在感を高めるツールとしてはもの足りないうえ、ドルの覇権に挑む武器としてほとんど役立たないことは言うまでもない。人民元は世界最大の貿易国の通貨でありながら、実力はほとんど発揮していない。国際通貨基金(IMF)が2019年に公表した調査によると、16年のデータに基づけば中国の輸出の約93%、輸入の95%がドル建てとなっていた。