リモートワークが長期化している今、わかりあえない上司と部下の「モヤモヤ」は最高潮に達しているのではなかろうか。さらに、経営層からの数字のプレッシャーが高まる一方で、
「早速夜更かししそうなくらい素晴らしい内容。特に自発的に動かない組織のリーダーについてのくだりは!」
「読み始めていきなり頭をパカーンと殴られた。慢性疾患ってうちの会社のこと? すべて見抜かれている」
「『他者と働く』が慢性疾患の現状認識ツールなら、『組織が変わる』は慢性疾患の寛解ツールだ」
「言語化できないモヤモヤの正体が形になって現れる体験は衝撃でした」
職場に活気がない、会議で発言が出てこない、職場がギスギスしている、仕事のミスが多い、忙しいのに数字が上がらない、病欠が増えている、離職者が多い……これらを「組織の慢性疾患」と呼び、セルフケアの方法を初めて紹介した宇田川氏。我々は放置され続ける「組織の慢性疾患」に、どんな手立てを講じられるのだろうか。著者の宇田川氏を直撃した。
17年前に他界した父へ、
自分はどうしたら一番よかったのかと考える日々
「おまえの言うことは学者の戯言(たわごと)だ」
小さな会社の経営者だった父とは、多くの議論をしてきました。
私が大学院で経営学を研究するようになると、父はときどき私に相談するようになりました。
苦労している姿を知っていた私は、何かの役に立ちたいと、いろいろアドバイスしましたが、よく言われたのは冒頭の言葉でした。
「学者の戯言」と言われた瞬間、背筋が凍りつきました。
自分がこれまでやってきたことがすべて否定された感じがして、とても腹が立ったのです。
でも、少し時間が経って考えてみると、父の言ったことは正しいところもありました。
当時の私は、学問的に正しいか否かからしか見ていなかった。しかし、経営の最前線にいた父には、私のアドバイスはなんら役に立つものではなかった。
その現実を目の当たりにして以来私は、経営者や企業現場で働く人たちにとって、「役に立つ」とは一体どういうことかを考えるようになりました。
17年前に他界した父に、自分はどうしたら一番よかったのかと考えながら、今日まで研究を続けてきたように思います。