リモートワークが長期化している今、わかりあえない上司と部下の「モヤモヤ」は最高潮に達しているのではなかろうか。さらに、経営層からの数字のプレッシャーが高まる一方で、
「早速夜更かししそうなくらい素晴らしい内容。特に自発的に動かない組織のリーダーについてのくだりは!」
「読み始めていきなり頭をパカーンと殴られた。慢性疾患ってうちの会社のこと? すべて見抜かれている」
「『他者と働く』が慢性疾患の現状認識ツールなら、『組織が変わる』は慢性疾患の寛解ツールだ」
「言語化できないモヤモヤの正体が形になって現れる体験は衝撃でした」
職場に活気がない、会議で発言が出てこない、職場がギスギスしている、仕事のミスが多い、忙しいのに数字が上がらない、病欠が増えている、離職者が多い……これらを「組織の慢性疾患」と呼び、セルフケアの方法を初めて紹介した宇田川氏。我々は放置され続ける「組織の慢性疾患」に、どんな手立てを講じられるのだろうか。著者の宇田川氏を直撃した。
まず、相手のナラティヴに
巻き込まれてみる
企業現場に入ると、「部下をいかに巻き込むかが大事ですね」と言う人も多いですが、はたしてそうでしょうか。
対話とは、相手を自分の目的達成のために道具的に「巻き込む」前に、まず相手のナラティヴが自分とは異なるものであることを理解しなければなりません。
相手なりの理があることを認め、相手の存在を道具ではなく、自分と同等に存在しているものとして認めることが第一歩です。
ですから、相手を「巻き込む」前に、相手に「巻き込まれる」。つまり、相手のナラティヴに参入することが重要なのです。相手のナラティヴが観察するに値する存在であることを、こちら側が受け入れなければ何も始まりません。
誤解しないでほしいのですが、これは決して甘やかすことでもないですし、今日からいい人になれ、部下にやさしくなれと言っているのでもありません。
そうではなく、相手を道具として扱わない観点からのアプローチがよほど実践的だと言っているのです。
相手を自分のナラティヴに巻き込み、ナラティヴの隔たりを強引に渡らせて、自分側のナラティヴで解釈させることに失敗してきたからこそ、今の慢性疾患が生み出されているのです。
そのことが見えてきたら、その構図を徐々に変えていくことです。