リッツ・カールトンが教えてくれる、
モチベーション高く働くための「想い」と「スキル」

 顧客を幸せにし、そのことで従業員も幸せになるという、Winの累乗づくりという観点でも大事な視点で見たとき、有名な企業の一つにリッツ・カールトンがあります。

 様々なメディアで取り上げられているので、もうご存知の方も多いでしょうけど、リッツ・カールトンでは、ホテルに滞在するゲストに満足してもらうためにあらゆるサービスを提供し、またゲストのリクエストに決して「ノー」と言わないことでも有名です。無茶なリクエストをするゲストもいるだろうに、さぞ従業員は苦労が多いんだろう……と思いきや、リッツ・カールトンの従業員満足度はとても高いのだそうです。きっと滞在するゲストがホテルのサービスに満足し、滞在を楽しむことが働く人のWinにつながっているのだと思います。

 このリッツ・カールトンの例からも見てとれるように、「人の役に立つという実感」を持ってもらうことができれば、働く人にWinを作ることができる、と言えそうです。けれど、言ったそばから矛盾するようですが、人の役に立ちたいという「想い」だけではWinを作ることはできません。なぜなら、いくら想いが強くても人の役に立つ製品・サービスを形にし、お客様に届けるためのビジネス上の「スキル」を持たなければ、想いの実現は叶わないからです。

 たとえばリッツ・カールトンなら、ハウスキーピングを担当する従業員が「ゲストに快適な眠りを提供したい」と思っていても、ベッドメイクの技術がなければそれは実現できない、といった具合です。

 となると、人の役に立ちたいという「想い」と、それを具現化するための「スキル」を両方持つことが、働く人に製品・サービスを生みだす力を備えるためには必要ですよね。そしてその製品・サービスが人の役に立っているという実感がWinとなって働く人に還元されることによって、さらにモチベーション高く仕事に取り組むことができる。いわば、「想い」と「スキル」がタイヤで「人の役に立っている実感」が燃料の車を運転する感じといったところでしょうか。質のいい燃料が入れば、タイヤはどんどん働く人を前に運んでくれる。そんなイメージです。

 と、ここまで書いてきたところで、さらに踏み込んで皆さんに質問です。

 働く人がモチベーション高く仕事をするためのWinを作るためには、果たして「想い」と「スキル」、この2つで十分でしょうか?もちろんこの2つだけでも働く人にWinを作ることは不可能ではありません。けれど、みなさんだったらこの他に何を持っていると、さらにやりがいを持って仕事に取り組むことができますか?