就活,地元21年卒学生の間では、例年よりも“地元志向”が強まったようです Photo:PIXTA

この1年でWebを活用した採用活動が大きく広がったことで、就活生は遠く離れた場所にある企業の説明会や選考に参加しやすくなった。しかし、就職みらい研究所の調査によると、実際には大学キャンパスのあるエリア内で就職する21年卒の学生が増加し、例年より“地元志向”が強まる結果になったという。その背景には、どのような事情があったのだろうか。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

地方企業の新卒採用
「計画を充足」が半数以上と好調

 就職活動と採用活動のあり方は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、劇的に変わった。

「これまで地方に住む学生は、特に金銭面やスケジュールの問題から都市圏にある企業を受けるのが非常に大変だった。しかし、Web説明会やWeb面接が浸透したことで、選択肢が広がったといえる。

 もともと首都圏にある企業の多くは、首都圏だけでは採用数を充足できず、地方の学生にも目を向けるようになっていた。採用方法の変化は、企業の採用担当者にとってチャンスになっている」(ネオキャリア新卒採用支援事業東日本責任者・福嶋亮輔氏)

 こうした変化に加えて、もともと就活生の多くは有名大企業志向であることから、地方の学生が都市圏にある企業へと流れ、地方企業の採用が厳しくなる可能性も懸念された。しかし実際、21年卒学生の採用は、必ずしもそうではない状況で終わったようだ。

 リクルートの調査・研究機関である「就職みらい研究所」が21年2月に発表した『就職白書2021』では、企業側に21年卒学生の採用数の計画に対する充足状況(20年12月時点)を尋ねている。全国的に充足率はアップしているが、地域を関東・中部・近畿・その他地域に分けた場合、中でも地方都市にあたる「その他地域」における企業の採用数の充足状況が大きく向上していることが分かった。

 具体的に見ていくと、「その他地域」では、採用数の計画に対して「充足した」と答えた企業の割合が、19年卒は37.2%、20年卒は40.2%だったのに対し、21年では54.5%に上昇しているのだ。