何となく…のイメージで、「社会貢献宣言をしている会社は待遇が良い」と、勝手に思い込んでいたというわけです。

 結局のところ、モチベーションも上がらず、営業にも真剣に取り組むことができなくなり、入社後1年足らずで退職してしまったそうです。

勘違いは
確認不足から

 元はと言えば、黒岩君が勝手に勘違いしたことが問題なのですが、これは簡単に防ぐことができた可能性が高い事象と言えます。

 なぜなら、基本的なことはちゃんと求人票に書いてあるからです。彼に限らず、求人票をちゃんと見ない学生は非常に多いという印象があります。

大槻智之氏大槻智之氏

 おそらく、営業職の残業代についても何かしら記載されていたはずですし、有給の病気休暇があるのであれば、それについても記載されていたでしょう。つまり、書いてもいない休暇を勝手に期待し、それがなくてがっかりすることもなかったということです。

 そのほか、よく聞く話としては、賞与の有無や退職金の有無、福利厚生などは情報として求人票に記載されているにもかかわらず、ちゃんと確認していなかったため、入社後に勝手に後悔してしまったというケースがあります。

 就職先を決定するにあたり、自分自身が最も求めるものは何か?最優先することは何か?はそれぞれ人によって異なります。

 しかし、長く勤めようと思えば、それだけで決めてしまうことは危険です。少なくとも基本的な処遇はしっかりと確認し、理解した上で就職先を決定するようにしましょう。

◎大槻智之(おおつき・ともゆき)
特定社会保険労務士、大槻経営労務管理事務所代表社員
1972年4月東京都生まれ。日本最大級の社労士事務所である大槻経営労務管理事務所代表社員。株式会社オオツキM 代表取締役。OTSUKI M SINGAPORE PTE,LTD. 代表取締役。社労士事務所「大槻経営労務管理事務所」は、現在日本国内外の企業500社を顧客に持つ。また人事担当者の交流会「オオツキMクラブ」を運営し、220社(社員総数18万人)にサービスを提供する。