5歳の頃から
売り上げをノートに記録
貯蓄を始めて数年後、私が小学4年生のとき、任天堂の『ファミリーコンピュータ』ブームが起こりました。
通称“ファミコン”。
同級生の多くはファミコンを親にねだって買ってもらっていたのに、私はなかなか買ってもらえず、友だちの家に通ってはファミコンで遊ばせてもらうという日々を送っていました。
ファミコンを買うために貯金をとり崩してしまおうかと考えたこともありましたが、今使ってしまってはお金が増えない。
そもそもせっかく貯め続けた貯金を減らすのもイヤなので、その後も少しずつ郵便局へ預けていました。
私は幼い頃から、数字に興味がありました。
親から聞いた話では、2歳くらいの頃から新聞や広告の数字をハサミで切り抜いていたそうです。
母方の祖母は地元で小さな喫茶店を営んでおり、その日の営業が終わった後、祖母は毎日のお店の売り上げを計算していました。
数字に興味があった私は5歳の頃から、売り上げをノートに記録する祖母の手伝いを始めました。
お店の売り上げは、毎日大きく変わります。
ノートをつけているうちに、「去年の同じ時期と比べて、売り上げが増えたのはなぜだろう?」といった素朴な疑問が湧いてくるようになりました。
そして、「今年は昨年よりも暑かった。だから、冷たい飲み物が飲みたくなって、喫茶店に涼みにやってくる人たちが増えて、売り上げが上がったのかもしれない」といったふうに自分なりの考えを巡らせるようになったのです。
両親はともに自営業だったこともあり、身近で経済の息吹が感じられた幼い頃の体験は、専業投資家になった今でも非常に役立っています。
私は株式投資をする際、現場や現地を視察に行くのですが、それは両親が働く姿を間近で見ていた体験から、現場の大切さが身に染みているからです