フェルミ推定」は、調べても正確な答えがわからないような一見難解な問題だ。
でも、地頭のいい人はわずかな手がかりだけでパッと概算することができる!
本連載では、ビジネスでも日常のひとコマでも使える超・高速計算テクニックと、どんな難問でも自分なりの答えを導くコツを紹介したイギリスで話題の1冊『世界の猫はざっくり何匹? 頭のいい計算力が身につく「フェルミ推定」超入門』より一部を特別に公開する。

「地頭がいい人だけ」が答えられる! 目の前の本の「単語数」を概算せよ!Photo: Adobe Stock

お気に入りの本の単語数
答えられますか?

 ある原稿、または本棚から取り出した本には、いくつ単語があるだろうか?

 もちろんほとんどの文書作成ソフトには、クリックするだけでこの問題に正確に答えてくれるボタンが用意されている。でもそれは電子版にしか使えない。紙の本の場合には、苦労して1単語ずつ数えていくか、またはもっと現実的な方法として、概算をするしかない。

 単語を数えるには、サンプルを取ってそこから本全体を概算するという手法が向いている。ほとんどの本では単語の長さと文字の詰まり具合はかなり一貫しているので、最初から最後まで文章が書かれているページを本の真ん中あたりからランダムに選べば、それがすべてのページの代表例になるだろう。

 たとえばジェーン・オースティンの小説『高慢と偏見』の単語数は?

 とことん無頓着な方法としては、どれか1つの行の単語数を数えて、それをもとに全体を概算すればいい。

 1行に12単語、1ページに38行、全体で345ページなので、ジコールを使うと次のようになる。(ジコールについては本連載の第3回『イギリスで話題の数学者が伝授!誰でも超高速で計算できるワザとは?』をご覧ください

10×40×300=120000はジコールで100000語

 でも、もっと大きいサンプルを取ってもっと正確な概算をしても、たいして手間は増えない。3つの行の単語数を数えて平均を取るだけでも、概算値はかなり良くなるだろう。

 3つの行の単語数が34であれば、1行あたりの平均は約11語となる。また、インデントや、ページの真ん中あたりで改行されている箇所、あるいは40といくつかある章の章末がページの途中に来ていることを考え合わせると、完全な行が1ページあたり約36あって、ページ数は約320と言えばいいかもしれない。

 それでもおおざっぱな答えは変わらない。11×36×320はジコールで10×40×300=120000、ジコールで100000。でも、1ページあたりの単語数とページ数をさっきよりも精確に概算したことで、もっと精確な概算値を示せるようになった。11×36~400で、400×320=128000だ。

 たぶん偶然だが、驚くことに、実はこの概算値は正式な単語数である122000にかなり近い。

(本原稿は『世界の猫はざっくり何匹? 頭のいい計算力が身につく「フェルミ推定」超入門』ロブ・イースタウェイ著、水谷淳訳の抜粋です)