イギリスで話題の1冊、『世界の猫はざっくり何匹? 頭のいい計算力が身につく「フェルミ推定」超入門』が4月21日に発売された。本連載では、ビジネスでも日常のひとコマでも使える超・高速計算テクニックと、「フェルミ推定」と呼ばれる難問にも答えを導くテクニックを解説する同書より、一部を公開する。この回では、誰でも素早い計算ができるようになるワザ、「ジコール」について紹介する。
素早く計算するための秘密兵器「ジコール」
素早く計算するための秘訣の1つは、計算をできるだけ単純にすること。概算の方法はいろいろあるが、中でも一番徹底しているのがジコールで、これは電卓の必要性を最小限に抑える狙いで作られている。ジコールというのは僕が付けた名前で、厳密な規則があるので専用の記号も考案した。
ジコールの発想は、計算に取りかかる前にすべての数を有効数字1桁まで丸めて単純化するというものである。つまり、例外なくすべての数を数十や数百や数千などに丸めるということだ。
いまからジコールの使い方の例をいくつか挙げよう。いずれの例でも、もとの数を丸めて0以外の数字が1つだけになるようにしていることに注意。
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1桁の数や、0以外の数字が1つしかない数は、すでに有効数字が1桁なのでそのまま。
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どうしてジコール(Zequal)と名付けたのか? この手法では0をたくさん使うから、イコール(equal)の前にゼロ(zero)のZを付けたのだ。ギザギザの記号はのこぎりのようにも見えて、後ろのほうの数字を容赦なく切り捨てる手法だからちょうどいい。
ではなぜジコールは役に立つのか? 複雑な計算が扱いやすくなって暗算で片付けられるようになるし、いまから見ていくように、たいていはおおよそ正しい答えが得られるからだ。
概算のために数を丸めるというのはけっして目新しい考え方ではないが、ジコールを使う場合には、つねに規則に従っていなければならない。またおおざっぱな計算だから、答えも「ジコール化」しなければならない。たとえば、次のようにする。
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