ドル紙幣Photo:PIXTA

米長期金利は上昇一服
ドル円下落と米国株上昇を演出

 米長期金利は、年初の0.9%台から3月末に1.7%台まで大幅に上昇した後、1.50-1.75%のレンジで推移している。ドル円も米長期金利の動きを追うように、年初の102円台から3月末には111円近辺まで上昇した後、108円近辺まで下落した。ドル円は、日米金利差だけで決まるわけではないが、市場参加者の注目が、米長期金利の急激な変動に集まったため、両者の相関が高まったとみられる。

 また、米長期金利が安定したことは、米国株にはポジティブだ。NYダウ工業株30種平均は、5月7日に終値ベースで史上最高値を更新した。為替、株式市場参加者は、米長期金利の次のトレンドに注目していよう。

 米長期金利は、米企業の景況感を示すISM製造業景気指数との相関が高い。ISM製造業景気指数は、3月の64.7から4月に60.7と低下した。しかし3月の同指数は、1980年代以来の高水準であり、上昇余地が乏しい状況だ。このため、最近のISM製造業景気指数は、米長期金利を予想する指標として使いにくいと思われ、4月のISM製造業景気指数の低下が、米長期金利低下の要因とは言い切れない。

 そこで、米長期金利を企業の景況感以外の要因から予想してみよう。筆者は、1)米国の個人消費の急激な増加が起きるか、2)バイデン大統領の大規模な経済対策の行方、3)市場のインフレ見通しの変化、4)市場が中央銀行の金融引き締めを織り込むタイミング、の4つに注目している。