「なんとなく」を「意識する」に変えると、時間が増える

――フリーランスだと自分で「仕事時間」「休憩時間」などを決めることになると思いますが、どんな1日を送っていますか?

 最近は朝8時あたりに起きて夜12時から1時の間に寝るという習慣にしています。ただ、一日の時間の使い方はけっこう日によって違っています。資料探しに急に図書館に行ったり家からほとんど出ずにずっと作業していたり。あと、3日に2日はチェーンのカフェに行って本読んだりアイデア考えたりぼーっとしたりする、というのは絶対にします。この時間は外せないですね。行く時は徒歩が好きです。

 ……と、こんな感じで日によってやることが違うので「1日のスケジュールはこれ!」と固定できず、ペースをつかめないのが悩みでした。

――独学大全、第1部は「学びのハウツー」ではなく「独学を続ける」習慣化のための技法が多かったと思います。どんな風に使いましたか?

 独学以外にも、いろんなものの習慣化に使えると感じました。僕の場合は仕事自体が日々「独学」のようなものなので、仕事のために使っています。

 ただ、なんとなく行っていた習慣がけっこう『独学大全』第1部に載っていて驚くことがとても多かったです。実際「名前」が付くと、身近で使いやすくなるなあと思いました。

――具体的にはどんな技法を実践していますか?

 まず「2ミニッツ・スターター」ですね。着手できない癖があるので、朝はとりあえず「机の前に座る」ことにしています。そうすれば紙と鉛筆があるのでなんか描いたりメモしたりとか……ノロノロやっているうちになんとかやる気の粒のようなものが出てくる感じがあるので。

 それから「習慣レバレッジ」もよく使います。「カフェに着いたら、本を1冊読む」という感じで、既にルーティンになっている「カフェ通い」を足がかりの習慣として使っています。

【マンガ】仕事の時間を恐ろしいほど奪う「なんとなくツイッター」をやめるための決定打

――行動記録表も、実際に続けているそうですね。1週間続けてみて、どんな気づきがありましたか?

 これまで無意識にやっていた自分の時間の使い方の問題点に気づくことができました。例えば、「絵を描く作業時間」はある程度は予想がつくのですが「アイデアをひねり出す時間」はまったく予定通りにはいかないことが実感できました。

 一方で、記録をつけているという意識が働くことでダラダラ考えたり決定を先延ばしにするという癖は意識的に減らすようになりました。ただ前回記事から反省がなくて「マリオカートが多いな……」とは思います(笑)。

――毎日記録するのは面倒くさいと思いますが、書くときに工夫していることはありますか?

 やっぱり今でも面倒ではあるし書きそびれてしまうこともあります。でも書きそびれて意志が弱まるのが一番やばいのでひとまずまた気を取り直して記録を続行します。

 それから出先などで記録をつけづらい時はスマホのメモに「1325食事(13時25分に食事開始の意味)」と書いてあとで見返して記録したり、自分の手間を減らす工夫はしています。

――ゲーム、ついやってしまうという人が多いと思います。ネルノダイスキさんはどう向き合っていますか?

 行動記録表に書き込むうちに、意識的に「今はゲームの時間」という自覚を持てるようになりました。(『マリオカート』の場合、任天堂の仕様で)ゲーム画面にもちゃんと現在時間が表示されるので、1日の制限時間を決めたり、管理がしやすくなりました。

 ゲーム以上にまずいなと思うのは「なんとなくスマホを見る」という行動ですね。終わりがなく仕事の邪魔になることが多いので、ツイッターのアプリも削除しました。毎回メアドとパスワードを入力しないとログインできないようにして投稿が終わったら10分以内にログアウトしています。あと寝床にはスマホを持っていかないようにしています。寝起きがめちゃくちゃよくなりました。

 これも、行動を継続して記録した結果、初めて意識できたことですね。
 

【マンガ】仕事の時間を恐ろしいほど奪う「なんとなくツイッター」をやめるための決定打ネルノダイスキ
イラストレーター・漫画家
創作同人誌即売会コミティアで漫画を発表したりギャラリーで作品展示を行うなどの活動を続けている。漫画や書籍の装丁、レコードジャケット、ミュージックビデオ、なども手がける。第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で同人誌「エソラゴト」が新人賞受賞。著書に『ひょうひょう』(アタシ社)、『いえめぐり』(KADOKAWA)がある。