困窮者の救済とデフレからの脱却が遅れている現状に鑑みると、再び給付金の支給を行ってもいいと考えられるが、政府にその気は全くなさそうだ。

 国民としては、「サーカスはいいから、パンをよこせ!」と言いたいところだろう。

 政府も与党も野党も、頼りにできない。国民は、まずは「自分の身は自分で守る」と覚悟しなければならない。

 さりとて、政治の改善を「諦める」ことは、事態をさらに悪くするだけだろう。悪政に対しては声を上げるなり、首相官邸が気にしているらしい内閣支持率の引き下げに向けて運動するなり、野党に改心を促して、せめて総選挙を恐れない程度に励ますなりの地道な行動は、今後を少しでも良くするために必要だと思われる。

コロナ禍が投資とビジネスにおいて
「チャンス」なのかもしれない理由

 当面、コロナの「変異株」が、個々の国民の命と健康の問題にとっても、暮らしと経済への影響に対しても大いに心配な状況だ。

 ところが、こと「投資とビジネス」について考えると、変異株が猛威を振るいつつある現在の状況は、意欲と行動力のある個人や企業にとってはチャンスをもたらしているのかもしれないのだ。

 改憲を目指す政党の某政治家が「コロナのピンチを(改憲に向けた)チャンスに」と発言して不適切であると非難された後なので、「チャンス」という言葉を使うことに抵抗があるが、状況を説明するにはこれが一番しっくりくる言葉なので、使うことにする。

 一つには、投資だ。

 3カ月前の株価を振り返ると、日経平均株価が3万円に達し、米ニューヨーク株式市場ではダウ工業株30種平均(NYダウ)が3万1000ドル台であったが、その後の両者の行き先が分かれた。日経平均は2万9000円前後に停滞し、NYダウにあってはついに3万5000ドルを付けた。

 この明暗の要因は、米・日のワクチン接種の進行スピードの差が一つ。そしてもう一つは、米バイデン政権には積極的な財政支出を伴うコロナ対策があり、日本にはじわじわとした「我慢大会」の呼びかけしかなかったことの政策の差だろう。

 昨年の落ち込みを「発射台」とした経済成長率ではあるが、米国は2021年に5%を超える国内総生産(GDP)成長率が予想される(英誌「エコノミスト」の予想では5.5%)。ニュースでも、ワクチンの接種が進んで経済活動がかつてのように復活する明るい話題が多い。

 一方、日本のGDP成長率は2%台後半くらいの予想が多いが(同2.7%)、こちらは緊急事態宣言の延長で数字が下振れするかもしれない。