プラごみ規制「罰則付き」法案で突き進む、小泉進次郎大臣の無責任Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

新型コロナウイルスの感染拡大の陰に隠れて、大きな国民負担につながる法案が国会に提出されている。小泉進次郎環境大臣肝いりの「プラスチック新法」案は、コンビニエンスストアを狙い撃ちにしつつ、詳細を規定しないまま事業者に罰則を設ける内容だ。国会での十分な審議も期待できない。小泉大臣は得意満面の様子だが、あまりに無責任ではないか。(室伏政策研究室代表・政策コンサルタント 室伏謙一)

カタカナ語連発で、とにかく「変えたい」
“シェアエコノミー”と関係浅からぬ小泉大臣

 小泉進次郎環境大臣は、とにかく「変える」ことに快感を覚えているようだ。

 去る3月9日に閣議決定し、国会に提出された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」、小泉大臣の言葉を借りれば「プラスチック新法」について、この日の閣議決定後の記者会見で、繰り返し「完全に~変わっていく」とか「世の中が変わっていくことになる」などと述べていることからも、それを窺い知ることができる。

 小泉環境大臣が言う「変える」先にあるものはというと、「サーキュラーエコノミー」なのだそうだ。サーキュラーエコノミーとは要するに循環経済(リサイクルなどによる資源の循環を生かした経済のあり方)のことであり、別にカタカナ語をわざわざ使う必要はないと思うのだが、その理由は、サーキュラーエコノミーと、プラスチック資源循環分野の取組に関する環境省の資料を読むと、なんとなく見えてくる。

 その資料には、サーキュラーエコノミーの説明として、まず「循環経済とは、従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」のリニアな経済(線形経済)に代わる、製品と資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小化した経済を指す」と、もっともらしいことが書かれている。

 だがその次に「これは、循環型社会に向けて我が国が推進してきた従来の3Rを、シェアリングやサブスクリプションといった循環性と収益性を両立する新しいビジネスモデルの広がりも踏まえ、持続可能な経済活動として捉え直したもの」とも記載されている。

 つまり、循環経済をシェアリングエコノミーのようなものとして構成し直したものということである。シェアリングエコノミーとは、内閣官房の定義によれば「個人等が保有する活用可能な資産等(スキルや時間等の無形のものを含む)を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動」であり、似て非なるものだ。

 そもそも経済活動ではなく「経済活性化活動」であり、はっきり言えばプラットフォーマービジネスであって、循環型か否かは無関係と言っていいだろう。

 小泉大臣は、就任以前に何度かシェリングエコノミーの関係行事で講演を行なうなど、当該業界とは浅からぬ関係のようであるから、何か吹き込まれたのか、感化されたのか、その辺りは定かではない。だが、彼らからなんらかの影響を受けてサーキュラーエコノミー実現のための「プラスチック新法」の実現を目指すことになったのだろう。

 そうした背景や影響があるのだろうが、この法案、一応は今年1月29日に中央環境審議会から提出された「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(意見具申)」に則ったものとされている。

 しかし、法案の詳細な内容と意見具申の内容を照らし合わせてみると、意見具申の内容を踏まえつつも、それを超えるような事項が含まれていることが分かる。