――筆者のロバート・ゼーリック氏は米国務副長官、米通商代表部(USTR)代表、世界銀行総裁を歴任。著書に「America in the World: A History of American Diplomacy and Foreign Policy.(世界の米国:米外交と外交政策の歴史)」がある。 ***  ジョー・バイデン米大統領の新たな国際政策には、大きな柱が一本欠けている。貿易だ。政権は政治的駆け引きを回避したがっている。民主党は議会でかろうじて多数派を維持しているにすぎず、党内には多くの経済的孤立主義者がいる。