カード会社にとってもうまみはある?

 投資信託のカード積み立てで存在感を発揮するのは、なんといっても楽天カードだ。他のサービスと比べて還元率が最も高く、付与された楽天ポイントを使ってさらに投信購入もできるからだ。おまけに、1ポイント以上を使って月500円以上の投信を買えば、楽天市場でのポイント付与率がアップする楽天SPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象にもなる。500円の投信購入は、ポイントと現金の組み合わせでも、全額をポイントで充当してもいい。もし5万円以上を積み立てていれば500ポイントが付与されるので、それで投信を買えばいい理屈になる。このように“楽天経済圏”の住人なら、カード決済を選ぶメリットは大きい。

 初めに「クレジットカード投信積み立て元年になる」と書いたが、PayPay証券やauカブコム証券の動向も気になる。それぞれがグループ内にクレジットカードを持っており、スマホ決済のPayPayやau PAYアプリ内にはポイント運用機能を実装、さらにはリアル投資への誘導も積極的にしている。遠からずクレカ積み立てにも参入してくるのではと想像している。

 蛇足になるが、最初に投信積み立てにカード決済を取り入れたのは、楽天ではなくtsumiki証券だった。丸井グループのtsumiki証券は、ファッションビルでエポスカードを使って買い物をしている投資初心者に、手元にまとまった資金がなくても投資ができることをアピールした。他の証券会社でもカード決済は検討されていたはずだが、ファーストペンギンが流通系証券だったことは興味深い。

 エポスカードといえば若者層がターゲットであり、まだ使える所得が十分とはいえない。だからこそのカード積み立てともいえるのだが、「後払い投資」であることは意識しておくべきだろう。

 また、カード会社側から見れば、他にうまみがなくてはやる意味はない。まず、積立期間は解約されないため、カードの利用頻度を上げるためのアプローチが可能になる。ポイントをエサにして、ポイントアップ優待キャンペーンやリボ払い変更を誘うお知らせがじゃんじゃん来るだろう。うっかり使いすぎないよう、カード払いの管理にはくれぐれも注意したい。

 口の悪い筆者は、当初は「前借りしたお金で資産形成するなんて」と言いもしたが、これほど流行るとは。「投資は余剰資金で」なんて時代はもはや遠くなったわけだ。