「一線都市」から人気急落した広州

 ところが、2020年11月、中国城市研究院が発表した「2020年中国城市発展水準ランキング」では、杭州が広州に取って代わり、一線都市に躍り出た。一方、広州は準一線都市へと後退してしまった。

 ただし、GDPを見れば、20年の杭州が1106億元(約1兆8738億円)に対し、広州のGDPは2519億元(約4兆2677億円)に達した。広州は、まだはるか先頭を走っていると言えよう。常時居住人口においては、杭州は1036万人に達したが、広州は1530万人で、杭州より約500万人も多い。

 しかし、杭州の個人所得税は286億元(約4845億円)で、186億元(約3151億円)の広州より100億元(1694億円)も多い。つまり杭州住民全体の収入は、広州のそれをかなり上回っているのだ。

 上場企業を見ても、広州の156社に対して、杭州は173社。さらに、時価総額が10億米ドルを超えるユニコーン企業の数は、杭州は19社で世界5位(北京、サンフランシスコ、上海、ニューヨークに次ぐ)だが、広州はわずか8社で、12位にとどまっている。その都市の経済活動の活発さをも表す「純流入人口」を見ると、19年、杭州は55.4万人だが、広州は40万人にとどまっている。

 香港が返還されてから、元々広州にあった多くの外国企業が上海に移転してしまい、広州が持っていた輝きはしだいに失われていったという面もある。実際、中国の都市群における広州の地位は、落ちてしまったのだ。