新型コロナウイルスの感染拡大で、百貨店の業績が窮地だ。三越伊勢丹ホールディングスの社長交代も事実上の“左遷”といえる。同社でかつて問題化した「追い出し部屋」は、単純業務をさせるなど形を変えて継続中だ。他社も含め、旧知の業界の人事模様を眺めてみよう。(流通専門記者 新田義男)
売り上げ増減はコロナと景気のせい
成果より忖度が人事の決め手?
百貨店で出世や左遷の決め手となるのは何か?それは、上司や会社への「忖度」でしょう。営業成績では必ずしもありません。
売り場を担当する社員には、売り上げのノルマが与えられます。しかし、そもそも「衰退産業」と言われて久しい業界です。誰が売り場の責任者になっても、売れないのは同じ、という認識に染まっています。
新型コロナウイルスの感染拡大は間違いなく大打撃で、危機感を持っている幹部や社員はもちろんいますが、まあ仕方ない、と受け止めている人も多くいるようです。コロナ禍の前のように、株高やインバウンド需要で一気に業績が良くなるように、企業戦略や営業努力より、景気に左右されやすい面もありますから。
売り上げ目標の達成度合いがよっぽど悪ければ別ですが、多少到達しないというだけで、人事評価で「バツ」がつくというのは、まれのようです。
百貨店に限らず小売業全般にいえることですが、上層部はどうも現場を信用していない。そして現場も、とりあえず上に言われたことをやっておけばいいという風潮が強いのが特徴です。
まずは、幹部や首脳陣の人事を見てみましょうか。