コロナ対策にマーケティング思考を現在の日本の新型コロナウイルス対策は、合理的な分析を基にしたピンポイントの対策とは正反対の、無差別な絨毯爆撃のようなものだといえる Photo:Underwood Archives/gettyimages

 先進国では新型コロナウイルス対策において最重要戦略であるワクチン接種が進み、経済が動きだしている。一方で日本は、ワクチン接種が遅れ、戦後最悪の失政として歴史に刻まれることだろう。先の世界大戦で言えば、最初の大敗であった「ミッドウェー海戦」と同じだ。

 本欄の第94回『ワクチン接種で遅れをとっても、「コロナ戦時体制」になれない日本』でも触れたが、日本はコロナ対策において、「戦時体制」に移行できていない。だが、現状を嘆いていても仕方がない。まずは初戦の敗北を認めて、これからは経済への悪影響を最小限にし、さらに日本経済が飛躍するような戦略的な思考に転換すべきだ。そうでないと、インパール作戦や沖縄戦に至る、産業の悲惨な敗戦と不必要な犠牲を繰り返すことになる。

 現実に目を転じると、マスメディアを通した大本営発表により、政府の「やれることは何でもやる」方針が伝えられている。ワクチン接種が「破竹の勢い」であるというニュースがずっと流れているし、「欲しがりません、勝つまでは」と見紛うような緊急事態宣言のニュースも繰り返し放送されている。

 だが、このような大本営の動きに、懸念を表明する経済人が増えている。その筆頭はJR九州の唐池恒二会長だ。同氏が「交通新聞」に寄稿した記事は注目に値する。