「無意識レベル」のスキルを身につける

 個人の能力は、「マインド」「スキル」「ナレッジ」の3要素で構成されていると考えています。

 マインドは、「やる気がある」「素直である」に代表される心の姿勢です。

 大事なのは「スキル」と「ナレッジ」の違いについてです。

 スキルは、反復によって獲得された、無意識レベルで再現可能な技術。ナレッジは、経験や学習によって獲得された知識。

 一見似ていますが、異なるものです。

 ピアニストがピアノを弾くときのことを考えてみましょう。ピアニストは、鍵盤のどれを押せば、「ドの音が鳴る」「レの音が鳴る」ということを知識として知っています。これが「ナレッジを持っている」状態です。

 さて、プロのピアニストは演奏中に、「どの鍵盤を叩くと何の音が鳴る」かをいちいち思い出しながら演奏しているでしょうか。

 答えはNo です。弾きたい音楽が頭に思い浮かんだ瞬間、“無意識レベルで”指が勝手に動いているはずです。この“無意識レベルで”というのが非常に大切で、これが「反復によって獲得されたスキル」です。

 キーボードで文章を入力するとき、最初は「どのキーを打つと、何の文字が入力されるか」を確認しながら押していたはずです。「どのキーを打つと、何の文字が入力されるか」を知っている。これも知識(ナレッジ)です。

 しかし今は、叩くキーのことをいちいち思い出さなくても、入力したい文章が頭に浮かんだらすぐに指が動くのではないでしょうか。

 ピアニストがピアノを演奏するのと一緒で、これが「無意識レベル」のスキルなのです。Excel も達人になればなるほど、ほぼ何も考えず、無意識のうちに操作が完了します。

 この連載で、私は単なるExcel のナレッジ(知識)をお教えしようとは思っていません。「このような表を作りたい」「こことここの数値を集計して合計を求めたい」と思った瞬間に、指が無意識レベルで動き、数秒以内にその操作が完了している状態を目指していただきたいのです。

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