日本経済が2四半期連続マイナス成長濃厚も、急回復を期待できる理由Photo:PIXTA

個人消費の落ち込みを主因に
日本経済は2期連続のマイナス成長

 政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止ための緊急事態宣言の期限につき、東京など9都道府県で延長し、まん延防止等重点措置についても、埼玉など5県で期限を延長した。いずれも5月末となっていた期限が6月20日とされている。

 最初の緊急事態宣言が2020年4-5月、2度目の宣言が21年1-3月に発令され、飲食店に営業時間短縮が要請されるなど、制限措置がとられ、それぞれの宣言下では、個人消費が大幅に減少し、経済活動の落ち込みが確認されている。今回の重点措置・宣言下の21年4-6月も同様で、経済活動の落ち込みが懸念されている。

 GDP統計の個人消費や、内閣府が公表する月次の消費総合指数から推計すると、最初の宣言下の20年4-5月における個人消費の落ち込みは、5兆円弱(4.9兆円)で、2度目の宣言下の21年1-3月の落ち込みは、1兆円程度(1.0兆円)と推計される。

 今回の重点措置における制限措置の内容は2度目の宣言に近く、3度目の宣言は最初の宣言に近い内容だ。そこで、重点措置による対象地域の1日当たりの消費の落ち込みを2度目の宣言と同様とし、3度目の宣言による落ち込みを最初の宣言時と同様と想定し、4-6月の個人消費の落ち込みを推計すると、落ち込み額は3.4兆円程度と計算される。

 GDPの動きをみると、2度の宣言下を含む20年4-6月期、21年1-3月期は、個人消費が大幅に落ち込んだことから、いずれも前期比ベースでマイナス成長となっている。21年4-6月期については、重点措置や3度目の宣言が発令される前には、2度目の宣言が解除されることで急回復も見込まれていたが、重点措置や3度目の宣言が発令されたことで、逆に経済活動への下押し圧力が大きくなり、1-3月期に続き、マイナス成長となる可能性が高くなっている。