地球から採取する資源をできるだけ減らし、廃棄物を最小限に抑える「循環型社会」へのシフトが叫ばれる昨今、食品加工の段階で廃棄される魚の皮を利用し、革製品や衣類などを作る技術が注目されている。新しい資源として注目される魚革(フィッシュレザー)製品の特徴や普及への課題などについて、独自ブランド「tototo」を立ち上げた野口朋寿氏に聞いた。(清談社 山田剛志)
「もろくて臭い」の
偏見を払拭
財布や衣服、家具など、生活のさまざまな局面で手にする機会の多い革製品だが、そのほとんどは、牛や馬といった哺乳類、ワニやヘビといった爬虫(はちゅう)類の皮革を原料としている。
ところが近年、皮革を得るためだけに動物を飼育・捕獲する行為が問題視されるようになっており、欧米を中心に倫理的な観点から動物性レザーの使用を控える企業も増えてきた。そんな中、代替物として関心を集めているのが、今まで捨てられていた魚の皮をなめして作るフィッシュレザーだ。
富山県氷見市を拠点に、2019年からフィッシュレザー製品の製造、販売を行っている「tototo」では、キーホルダー、スマホケース、名刺入れ、財布の4種類の製品をラインアップ。売り上げは右肩上がりで、今年に入ってからの受注数は、スタート時と比較して5倍以上の伸びを見せているという。